ガーデニングを始めたい人、ガーデニングを始めたばかりの人にとって、地植えは大きな憧れです。
しかし、地植えは土作りが重要で、失敗するとせっかくの植物が枯れてしまいます。
そこで今回は、どなたにもできる地植え用の土作りの方法をご紹介します。
ポイントを押さえれば、元気な植物を育てることができる土が作れますので、ぜひ参考にしてください。
ポイント1:地植え用の「良い土」の条件を知る
地植え用の「良い土」は、以下の条件を満たす必要があります。
- 排水性(水はけ)がよい
- 栄養分が豊富
- 通気性・保水性がある
詳しくみていきましょう。
なぜ、排水性(水はけ)がよい土がいいのか?
なぜなら、排水性(水はけ)が悪い土は、以下のような問題を引き起こすからです。
- 1. 根腐れ
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根は呼吸をするために、土の中に酸素を取り込みます。
しかし、排水性(水はけ)の悪い土は、土の中に酸素が行き渡らず、根が呼吸できずに腐ってしまいます。 - 2. 病害虫の発生
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根腐れや病害虫の発生は、植物の生育を阻害し、最悪の場合、枯れてしまう原因となります。
- 3. 土の劣化
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排水性(水はけ)の悪い土は、水分が溜まりやすく、土が酸性に傾いたり、粘土質になったりして、土の劣化を招きます。
このような悪条件の土に植物を植えても健全に育ちません。
せっかく植物を植えるのですから、元気にスクスク育って欲しいですよね。
排水性(水はけ)の良い土を使いましょう。
▼ 排水性(水はけ)の良い土の特徴
- 水が溜まらず、すぐに流れ出る土
- 土の中に空気の通り道がたくさんある土
なぜ、栄養分が豊富な土がいいのか?
地植え用の土作りで重要な条件のひとつに栄養分が豊富というものがあります。
では、なぜ栄養分が豊富な土が必要なのでしょうか。
植物は、光合成によって栄養素を取り込み、成長します。
その栄養素の多くは、土壌中から吸収されます。
そのため、栄養分が豊富な土だと、植物は元気に育ち、花を咲かせ、実を結ぶことができるのです。
具体的には、以下の3つの効果があります。
- 1. 植物の成長を促進する
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栄養分が豊富な土壌では、植物が必要な栄養素をバランスよく吸収することができます。
そのため、植物の成長が促進され、大きく立派に育ちます。 - 2. 病害虫の発生を抑制する
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植物は、栄養不足や乾燥、過湿など、環境の変化によって病害虫にかかりやすい状態になります。
栄養分が豊富な土壌では、植物が病害虫にかかりやすい状態を防ぐことができます。 - 3. 土壌の微生物活動を活性化する
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土壌には、植物の根と共生する微生物が存在します。
微生物は、植物の生育に必要な栄養素を分解したり、土壌を団粒化したりする働きがあります。
栄養分が豊富な土壌では、微生物活動が活性化され、土壌の環境が改善されます。
▼ 栄養分が豊富な土を使うメリット
- 植物の成長を促進する
- 病害虫の発生を抑制する
- 土壌の環境を改善する
地植え用の土作りでは、栄養分を豊富に含む土壌を用意することが大切となります。
なぜ、通気性・保水性がある土がいいのか?
地植え用の土には、通気性と保水性という2つの重要な条件があります。
まず、通気性・保水性について解説します。
- 通気性とは?
-
通気性とは、土の中に空気の通り道があるかどうかを表す言葉です。
土の中に空気が十分に含まれていないと、根が呼吸できなくなり、根腐れや病気の原因となります。 - 保水性とは?
-
保水性とは、土が水分を保持する性質を表す言葉です。
土が水分を保持できないと、植物は水不足で枯れてしまいます。
植物の根は、呼吸するために酸素を必要とします。
また、水分を吸収するためには、土に水を保持する保水性も必要です。
通気性・保水性がある土は、根にとって最適な環境を整えることができるのです。
次に通気性・保水性のある土のメリットをみてみましょう。
具体的には、以下のメリットがあります。
▼ 通気性・保水性のある土のメリット
- 根が呼吸しやすくなる
- 根腐れや病気のリスクが減る
- 根が十分に伸びて水や養分を吸収しやすくなる
つまり、通気性・保水性がある土は、植物が健康に育つための土壌環境を整えることができるのです。
ポイント2:地植え用の土作りの準備をする
「良い土」の条件を理解したところで、早速土作りを始めたいところなのですが、まだいくつか準備が必要です。
「良い土」にするには、どんな資材が必要で、何をすればいいのかを解説します。
排水性(水はけ)をよくするためにはこうやって!
排水性(水はけ)がよい土は、根腐れを防ぎ、根の発育を促すなど、植物の健康な生育に欠かせない条件となります。
排水性(水はけ)をよくするためには、以下の方法があります。
- ◎ 砂やパーライトなどの粒状の資材を混ぜる
-
砂やパーライトは、土の隙間を広げてくれるので、排水性(水はけ)がよくなります。
- ◎ 植え穴を深く掘る
-
植え穴を深く掘ることで、水が溜まりにくくなります。
栄養分が豊富な土を作るためにはこうやって!
地植え用の土作りにおいて、栄養分を豊富にすることは重要なポイントです。
栄養分が豊富な土は、植物が元気に成長し、花をたくさん咲かせてくれます。
栄養分の豊富な土を作るには、以下の方法があります。
- ◎ 堆肥や腐葉土を混ぜ込む
-
堆肥や腐葉土は、植物の有機物を原料とした肥料です。
有機物は、土壌中の微生物の餌となり、土壌の団粒化や肥沃化に効果があります。 - ◎ 化成肥料を施す
-
化成肥料は、窒素、リン酸、カリなどの栄養素をバランスよく含む肥料です。
ただし、使いすぎると土壌が劣化する可能性があるため、注意が必要です。
規定量を守って使ってください。 - ◎ 市販の培養土を使う
-
市販の培養土は、栄養分が豊富に含む土壌を配合して作られています。
初心者の方には、市販の培養土を使うのがおすすめです。
通気性・保水性がある土を作るためにはこうやって!
地植え用の土作りで重要な通気性・保水性は、植物の根を健康に育てるために欠かせません。
通気性・保水性を高めるためには、以下の方法があります。
- ◎ 腐葉土やパーライトなどの有機物を混ぜる
-
腐葉土やパーライトなどの有機物は、空気を含む性質があります。
- ◎ 砂や軽石などの無機物を混ぜる
-
砂や軽石などの無機物は、水はけをよくする性質があります。
- ◎ 耕して土をほぐす
-
耕すことで、土の粒子が細かくなり、通気性・保水性が良くなります。
【補足】 通気性と排水性の違い
大切な土作りにおいて、よく耳にする「通気性」と「排水性」。
この2つの違いを理解していないと、せっかく植えた植物がうまく育たないこともあります。
そうなっては困りますので、通気性と排水性の違いについて知っておきましょう。
つまり、どちらかの要素が優勢になってしまうと、健全な植物を育てることが難しくなるということになります。
ポイント3:土の状態をチェックする
地植え用の土作りをする際には、まず、植え付ける場所の土質を確認する必要があります。
土質によって、土に足りないものや、改善するべき点が異なります。
植物を植え付ける場所の土の状態をチェックして、植え付ける場所に足りないものがないかを確認しましょう。
目視でチェックする
土の色や質感、粒の大きさなどを目視でチェックします。
項目 | 原因 | 対処方法 |
---|---|---|
土の色が暗い(灰色) | 有機物が少ない可能性がある | 腐葉土や堆肥を混ぜる |
土の質感が硬い | 水はけが悪い可能性がある | 砂やパーライトを混ぜる |
土の粒が大きすぎる | 通気性が悪い可能性がある(※1) | パーライト、軽石、パーライトなどを混ぜる |
▼(※1)「土の粒がおおきすぎる場合、通気性が悪い可能性がある」の表記について
土の粒が大きい方が、通気性は良くなると思われがちですが、実はそうではありません。
土の粒が大きすぎると、土と土の間隔が広くなり、土の中の空気が抜けにくくなります。
理由は以下の2つ。
1.土と土の間隔が大きいほど、空気の層が厚くなる
土の粒が小さい場合は、土と土の間隔が小さいので、空気の層が薄くなります。
そのため、空気が土の中に浸透しやすくなります。
一方、土の粒が大きいと、土と土の間隔が大きいため、空気の層が厚くなります。
そのため、空気が土の中に浸透しにくくなります。
2.土と土の間隔が大きいほど、空気の流動が悪くなる
土の粒が小さい場合は、土と土の間隔が小さいので、空気が自由に流動することができます。
そのため、空気が土の中に循環しやすくなります。
一方、土の粒が大きいと、土と土の間隔が大きいため、空気の流動が悪くなります。
そのため、空気が土の中に循環しにくくなります。
つまり、土の粒が大きすぎると、土の中の空気が抜けにくくなり、根が呼吸できなくなるのです。
通気性が悪い場合は、腐葉土や堆肥、バーミキュライトなどの資材を混ぜて、土の粒を小さくすることで対処できます。
土壌分析をする
ホームセンターやネットショップで販売されている土壌分析キットを使って、土の酸度や肥沃度などを測定します。
項目 | 原因 | 対処方法 |
---|---|---|
酸度が高すぎる場合 | 主に雨により土が酸性に傾いてしまう。 酸度が高くなると、ミネラルの吸収が悪くなる | 苦土石灰を混ぜて、酸度を中和する |
栄養素が不足している場合 | 同じ植物を植えっぱなしにしていたり、土を撹拌していないと栄養が偏ったり、流出したりする。植物の成長が鈍くなる。 | 追肥する 中耕する |
対処方法がわかったら、足りない土壌改良材を用意してくださいね。
ポイント4:土作りはこうやって!
用意した土壌改良材を使って、早速土作りをしてみましょう!
準備するもの
- スコップやシャベルなどの道具
- 土壌改良材(腐葉土、バーク堆肥、苦土石灰、元肥など)
- 手袋
土作りの手順
土の表面に落ちている枯れ葉、石、生えている雑草などを取り除きます。
地面が固くてスコップやシャベルが入っていかない場合は、剣先スコップや鍬、ツルハシなど、先が尖っている道具を使うと作業が捗ります。
▼ 深さを図る目安になるもの
片手で使えるタイプの一般的なスコップやシャベルのすくい面は、約15cmくらいです。土に刺して深さの目安にしてください。
柄が長く、両手で使えるタイプの一般的な剣先スコップのすくい面は、約30cmくらいです。こちらも土に刺せば、深さの目安に使えます。
植え付ける場所に足りない土壌改良材や市販の培養土を撒いて、掘り起こした土とよく混ぜ合わせます。
最後に土を平らにならしてください。
土壌改良材の分量は、パッケージの袋に記載があります。
入れすぎは植物にダメージになることもあるため、用量を守ってください。
平らにならした土の上からたっぷりと水をかけてください。
ビニールシートがある方は、全体をビニールシートで覆うと、土壌改良材の分解が早くなります。
ビニールシートは、水分の蒸発を防いだり、風で土壌改良材が飛ばないようにするためにも有効です。
ビニールシートがない方は、新聞紙でも代用できます。風で飛ばされないように、抑えておきましょう。
気温がだいたい15度以上ある場合は、2週間~3週間くらいはいじらず、寝かせておきます。
土を寝かせておくと、土壌改良材の成分が分解され、土がだんだんと馴染んできます。
それと、土中の微生物の活動が活発になり、土壌の団粒構造が改善されたりもします。
気温が10度以下の場合は、寝かせておく期間を延長してください。
準備完了!
これでいつでも植え付けできます。
まとめ
今回は、どなたにもできる土作りを解説しました。
土作りは、地植えを成功させるためには欠かせない作業です。
実際に手を動かす部分は、初心者さんでも簡単にできますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ありがとうございました。
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