ガーデニングを始めるにあたって、最初に覚えておきたいのが「水やり」です。
水やりは、植物を育てるうえで最も重要な作業のひとつであり、やり方を間違えると、植物が枯れてしまう原因にもなります。
本来、植物の種類や、植え付け場所の環境によって、水やりのタイミングや量は変わってきます。しかし、ガーデニング初心者の方には、まずは基本的な水やりのコツを覚えておくことをおすすめします。
この記事では、ガーデニング初心者の方に向けて、基本となる水やりのコツを解説します。
水やりの目的
水やりは、植物を育てる上で最も重要なポイントです。
植物に必要な水を与え、根の発育を促し、葉や花を元気にさせるのが目的です。
植物は、体内の約9割が水分で構成されています。
水は、植物の細胞の活動に不可欠であり、光合成や呼吸、蒸散など、さまざまな生理機能に必要なエネルギーを供給しています。
水やりが不足すると、植物は水不足に陥り、生育不良や枯れなどの症状を引き起こします。
一方、水やりのやりすぎは、根腐れの原因となり、植物を弱らせてしまいます。
水やりの目的は、大きく分けて3つあります。
- 根の発育を促す
- 葉や花を元気にさせる
- 光合成を促す
それぞれ詳しくみていきましょう
根の発育を促す
植物の根は、土から水や養分を吸収する器官です。
水やりによって根が十分に水分を吸収すると、根の細胞が活発に分裂して、根の発育が促されます。
根の発育が促されると、植物は水や養分をより効率よく吸収できるようになり、生育が旺盛になります。
また、根がしっかりと張ることで、植物は倒れにくくなり、風や雨などの被害に遭いにくくなります。
葉や花を元気にさせる
葉や花は、水分を蒸散させて体温調節を行っています。
水やりによって葉や花に十分な水分が供給されると、蒸散が促され、葉や花が元気に育ちます。
葉や花が元気に育つと、光合成や呼吸などの生理機能が活発になり、植物は健康的に成長することができます。
また、葉や花が美しく咲くことで、観賞価値も高まります。
光合成を促す
光合成は、植物が太陽の光をエネルギー源として、二酸化炭素と水から糖を合成する生理機能です。
水やりによって水分が十分に供給されると、光合成が促され、植物が成長するために必要なエネルギーが生成されます。
光合成が促されると、植物は生育が旺盛になり、葉や花が鮮やかに色づきます。
また、植物は二酸化炭素を吸収して酸素を放出するため、空気の浄化にも役立ちます。
地植えの水やりのタイミングと量
地植えの水やりのタイミングと回数、
どれくらいの量を与えればいいのかを解説します。
地植えの水やりのタイミング
地植えの水やりのタイミングは、植物を植え付けてから根が張り出すまでの1週間~2週間は、毎日行います。
根付いてからは、基本的には、雨にまかせて大丈夫です。ただ、炎天下が3日以上続いた日や、乾燥が続いたときは、水やりを行いましょう。
地植えの水やりの量
地植えの水やりの量は、土の表面だけでなく、地中に根が張っている部分まで水が十分に行き渡るように、根元からたっぷりと与えて下さい。
鉢植えの水やりのタイミングと量
鉢植えの水やりのタイミングと
1日何回、どれくらいの量を与えればいいのかを解説します。
鉢植えの水やりのタイミング
鉢植えの水やりのタイミングは、鉢の中の土の表面が乾いたら行います。
土の表面の乾き具合を確認する方法は、目で確認するか、指で土を触って確認するか、鉢の重さで確認します。
- 目で確認する場合
-
土の表面が白っぽくなっているか、ヒビ割れが発生しているかをチェックする。
土の表面に白い粉が浮いている場合は、水やりの必要性が高い。 - 指で土を触って確認する
-
土の表面から2〜3cm程度の深さに指を挿入して、土の湿り具合を確認する。
土が湿っている場合は、水やりの必要はない。 - 鉢の重さを確認する
-
水やりをしたあと、鉢ごと持ち上げて、重さを覚えておく。
鉢が軽いと感じたときは、土が乾いているため、水やりを行う。
鉢植えの水やりの回数
水やりの回数は、植物の種類や気候によって異なります。
一般的には、1日1〜2回程度の水やりが適切です。
ただし、夏場は乾燥しやすいため、1日に3回程度の水やりが必要になることもあります。
また、冬場は乾燥しにくいため、2、3日に1回程度、もしくは、1週間に1度の水やりで十分な場合もあります。
土が乾いているかどうか確認してから、水やりをしてください。
鉢植えの水やりの量
鉢植えの水やりの量は、土の表面だけでなく、鉢の中全体に水を浸透させるようにしましょう。
鉢植えの場合、鉢の底から水が流れ出るまでが目安です。
鉢植えの場合、土の乾燥が続くと、水が浸透しにくくなります。そのとき、一度に大量の水を一気に与えると鉢から土が溢れ出てくることがあります。
そうならないように、何回かに分けて水を与えるようにして下さい。
▼ 鉢植えの水やり手順
勢いよく水を与えると土がへこんでしまうので、やさしく与えてください。
水が土に浸透していくので与えた水の量がだんだん減ってきます。
水が全て引くまで待ちます。
与えた水が鉢底から流れ出てくればOKです。
水が流れ出てこなければ、流れ出てくるまでSTEP1~STEP3を繰り返してください。
水やりの注意点
水のやりすぎ
水やりのやりすぎは、根腐れの原因となります。
根腐れは、植物の根が水分過多によって腐敗する病気です。
根腐れを起こすと、植物は水や養分を吸収できなくなり、枯れてしまいます。
水やりのやりすぎを防ぐためには、土の表面が乾いたら水やりをするなど、適切なタイミングで水やりをすることが大切です。
また、鉢植えの場合、鉢底の穴から水が流れ出るまで水やりをすることも、根腐れを防ぐために重要です。
これは、土壌の酸素と関係しています。
植物の根は、土から水や養分を吸収するだけでなく、呼吸もしています。呼吸によって、植物は二酸化炭素を排出し、酸素を取り込みます。
鉢底の穴から水が流れ出るまで水やりをすると、土の中の空気が入れ替わり、根の呼吸が促進されます。
そのため、根腐れを防ぐことができるのです。
水やりの不足
水やりが不足すると、植物は水不足に陥り、生育が停滞したり、枯れたりすることがあります。
水やりの不足を防ぐためには、土の表面が乾いたら水やりをするなど、適切なタイミングで水やりをすることが大切です。また、水やりの量を十分に確保することも重要です。
「水のやりすぎ」で植物を枯らす場合と「水やりの不足」で枯らす場合では、どちらが多いと思いますか?
・アメリカの園芸雑誌の調査によると、水やりの過剰による植物の枯れは、水やりの不足による枯れの約2倍に上る
・日本の農業に関わりのある協会が実施した調査によると、水やりの過剰による植物の枯れは、水やりの不足による枯れの約1.5倍に上る
というデータがあるようです。
圧倒的に「水のやりすぎ」で枯らす場合の方が多いですね。
植物を大切にしたいあまり、水やりを過剰に行ってしまったり、植物が乾燥して枯れてしまうのではないかと不安になり、水やりの頻度を上げてしまったり…。
かくいう私も水のやりすぎで植物を枯らした内の一人です。
かなりの数を枯らしてしまいました。
ガーデニングを始めたての頃は、毎日水をやらないといけないと思っていたのです。可哀想なことをしてしまいました…。
土が湿っていたら、水やりは必要ありません。
土の湿り具合の確認をして下さいね。
水の過不足を確認できる道具
水やりのタイミングかどうか、見ただけでは判断が難しいこともあります。
そんなときは、水やりチェッカーを使ってみたらどうでしょう?
土の湿り具合を簡単に確認できる便利な道具です。
土壌水分計
土壌の中の水分を測定するタイプの水やりチェッカーです。
土壌の中の水分量を数値で表示してくれるので、水やりのタイミングや量を適切に判断することができます。
水やりサイン
水やりチェッカーの色が変化することで、土の湿り具合を示すタイプの水やりチェッカーです。
水やりチェッカーを土に挿入すると、土の湿り具合によってチェッカーの色が変化します。
最初は、このような便利な道具を利用して、水やりのタイミングを覚えていきましょう。
水やりの道具
植物を元気に育てるために欠かせない水やり。
でも、水やりのタイミングや量を間違えると、植物が枯れてしまう原因にもなってしまう。
なんだか面倒だし、手間もかかりそうだな…と思っている方もいらっしゃると思います。
その手間を少しだけ楽にできる道具があります。
いくつかご紹介しますね。
ジョウロ
水やりの代表的な道具と言えば、ジョウロです。
ジョウロはガーデニング作業においては、なくてはならない道具です。
鉢植えや面積の小さい花壇などに使用します。
ペットボトル用水差しキャップ
水を入れたペットボトルに写真のキャップを付けると、細口の水差しとして使えるというものです。
100円均一で販売されています。
小さな鉢植えや、寄植えなどの込み入っている鉢植えの植物と植物の隙間から水やりするのに向いています。
散水ノズル
広範囲に水やりができる便利な道具です。
ホースに接続して使用します。
散水ノズルには、シャワーだけでなく、霧状やストレートなど、さまざまな水形がノズル1つで切り替えることができるタイプもあります。
柄の長いロングタイプもあります。
自動給水器
あらかじめ設定した時間に水やりをしてくれる便利グッズです。
水やりの手間を省くことができます。
自動給水器には、鉢の中に設置するタイプや、花壇の土の中に埋め込むタイプなど、さまざまな種類があります。
水やりで失敗しないためのコツ
水やりで失敗しないためのコツは3つあります。
土の乾き具合を見極める
水やりのタイミングは、土の乾き具合を見極めることが大切です。
地植えの場合、炎天下が続いたり、乾燥する日が続いた場合は、水やりを行います。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いていて、指を土の表面から2〜3cm程度の深さに挿入し、土が湿っていなければ、水やりを行います。土の表面だけが乾いていて、土の中は湿っているのに、鉢底から水が流れ出るほどたっぷり水やりをすると、根腐れの原因になります。土の中の水分の確認も忘れないようにしましょう。
水やりのタイミングであれば、たっぷり水やりする
地植えの場合、水やりのタイミングであれば、地中深くに張った根まで届くくらい、たっぷりと水やりを行ってください。
鉢植えの場合も水やりのタイミングであれば、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと行うのが基本です。
そうすることで、土全体に水が行き渡り、根腐れを防ぐことができます。
鉢植えの受け皿の水は捨てる
鉢植えで、受け皿を使用している場合、水やり後は、受け皿に溜まった水は必ず捨てるようにしましょう。
受け皿に水が溜まったままにしておくと、根が常に湿った状態になり、根腐れの原因になります。
まとめ
ガーデニングにおいて、水やりは、植物を育てる上で最も重要な作業の一つです。
水やりのコツや注意点を押さえて、植物を元気に育てましょう。
ありがとうございました。
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